飲食業界はいま、FLR(原価率・人件費比率・家賃比率)の高騰という三重苦に直面している。
食材価格の高騰、人手不足による人件費上昇、そして高止まりする家賃。利益率5%を確保するのがやっと、という声も多い。
そんな中で、伊勢神宮の門前にある「ゑびや大食堂」は、人を増やさずに売上を12倍に伸ばした。
2012年に42人で売上1億円だった企業が、2024年には47人で12億円。
たった5人しか増やさずに、売上は12倍。
驚異的な生産性の裏にあったのは、ITやDXではなく、思想=Philosophyだった。
◾️「人を増やして売上を伸ばす時代」は終わった
プレジデントの記事で、社長の小田島春樹氏はこう語っている。
「人を増やして売上を増やすモデルはもう成り立たない。
だから、人を増やさずに売上と利益を上げる方法を考える必要がある。」
多くの飲食経営者が“効率化”という言葉を口にするが、小田島氏の言う生産性は、単なるスピードアップではない。
「自分たちのビジネスを高解像度で理解し、何に人の時間を使うかを設計する」
─つまり、仕事を再構築する思想だ。
◾️QSP経営の核心:テクノロジーより思想
ゑびやの店内では、AIが来客数を予測し、モニターで厨房に共有されている。タブレット注文やセルフレジも導入済みだ。しかし、DXは目的ではなく手段。
