【佐藤こうぞうの「歩く飲食ブランド論」#43】業態の時代の終焉宣言─「業態をつくる」から「ブランドを残す」へ

外食業界では長く、“新業態をつくること”が勝負だった。
流行に敏感な都市部の外食は、常に新しいフォーマットを求め、次々に「ネオ〇〇」「××系」などのカテゴリーが生まれた。そのスピードに適応できるかどうかが、企業の成長を分けた時代もあった。

だが、最近こう感じている。
「もう、業態をつくる時代は終わったかもしれない」と。

■ 業態をつくっても、5年で陳腐化する現実

先日、ブランドバンクカンパニーの斎藤さんと話していて印象的だった言葉がある。

「業態を新しくつくってヒットしても5年で陳腐化する。これからは業態づくりじゃない発想が大事だよね」

まったくその通りだと思った。
飲食の市場が成熟し、消費者の選択肢が無数にある中で、”業態ウケ”はもう長続きしない。
むしろ、業態というフォーマットに縛られることで、ブランドの本質が薄まりやすくなっている。